稲城市でスズメバチの巣を取り除いた日――家族と地域を守る決断

稲城市でスズメバチの巣を取り除いた日――家族と地域を守る決断

1. はじまりは、低い羽音だった

土曜日の午前、稲城市東長沼。稲城長沼駅前の「ペアテラス」で梨の直売が始まり、川崎街道には買い物帰りの車が行き交う。わが家はそこから少し入った戸建てで、休日は稲城中央公園の芝生で遊んだり、夕方には多摩沿線道路を歩いて稲城大橋の空を眺めるのが定番だ。
その日、ベランダの植木に水をやっていると、胸の奥がざわつくような低い羽音がした。耳を澄ますと、エアコン室外機の裏から何匹も出入りしている。最初はアシナガバチかと思って距離を取りつつ身を乗り出すと、黒と黄の縞、太い胴、そして威圧的な飛び方――スズメバチだった。

「…嘘だろ」
声に反応して小学二年の息子が顔を出しかける。「ダメ、窓閉めて!」妻の声が震えた。ガラス越しに覗くと、軒天の影に渦巻き模様の球形の巣。直径はバレーボールほどに見える。すでに“家の守り”に入っている働きバチが周囲を哨戒飛行していた。

この通りは児童の通学路で、家の角を曲がれば大丸公園。近所の子たちが毎日通る。「ここで刺傷事故を出すわけにはいかない」――胸が強く脈打った。

2. 自力でやるか、任せるか

昼すぎ。ホームセンターへ行けば強力なジェットスプレーも売っている。頭をよぎる「自分で何とか」の四文字。だが、巣は2階の軒下、地上からは3メートルほど。脚立は不安定、狙いが逸れれば反撃を招く。スズメバチは“警報フェロモン”で一気に仲間を呼び、集団で突進してくる――そう読んだ記事の言葉が、やけに具体的に思い出された。
妻は黙ってうなずいた。「安全第一でいこう。プロを呼ぼう。」

3. 「ハチ蜂バスターズ」に電話

検索窓に「稲城市 スズメバチ 駆除」。すぐに見つかったのがハチ蜂バスターズ。状況を伝えると、電話口の担当者はまず落ち着いた声で行動指示をくれた。

  • 巣に近づかない、揺らさない
  • 窓と勝手口を閉め、家族は屋内待機
  • 近所へ一言「蜂がいるのでしばらく近づかないで」と共有

本日中に伺えます。多摩エリアのスタッフが向かいます」との返答。概算も率直だった。

「2階軒下のスズメバチ中型巣で、現地判断ですが2万円台後半が目安です。到着後に無料で正確な見積りを出し、ご納得いただいてから作業します。」

費用の不安が溶けるのと同時に、背中のこわばりもほどけた。ほどなく「南多摩駅近くを出発しました」と到着連絡。私たちはカーテンの隙間から、ただ静かに、巣の出入りを見張った。

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4. 現場到着――プロの準備は“静か”だ

インターホン。作業車が止まったのは連絡から50分後。二人チームで、まずは近隣への声かけ。「いまから蜂の駆除をします。外に出ず窓を閉めてください」――過度に騒がせず、でも必要な一言は欠かさない。
続いて現地調査。双眼鏡で巣の出入口、働きバチの数、風向き、退避動線を確認。
「種類はキイロスズメバチ、直径20~25cm。働きバチは日中でも30~40匹。日没近くに本作業をかけます。今から段取りして、作業は30~45分ほどの見込みです」
提示された見積りは税込み27,500円。内訳と手順、リスクと代替手段、作業中の私たちの過ごし方まで丁寧に説明があった。私たちは即決した。

防護服に着替える。厚手のつなぎ、面体ネット、二重手袋、ブーツ。片方が伸縮ランス付きの業務用噴霧器、もう片方が回収・警戒役を担う。玄関先にはブルーシート。逃走経路と万一の退避ルートも再確認――準備の静けさが、むしろ頼もしい。

5. 作戦開始――一撃で主導権を握る

薄闇。働きバチが巣へ帰り始める時間帯、最も効率よく、かつ安全に蜂数を削れるタイミングだ。
合図は短い。「入れます」
ランスが巣の出入口を捉え、低噴霧→高圧噴霧へ。白い霧が渦巻き模様をなぞる。ブワッ、と数十匹が飛び出す――が、警戒役の隊員が周辺個体をピンポイントで追加噴霧。面体に体当たりする固体もいるが、過剰に動かさず淡々と制圧していく。
数分で羽音が明らかに一段落ち、巣の表面に動きが消える。ここで焦らず待つ。戻りバチが「ただいま」と顔を出すところへ、二度目の噴霧。出入口から中へ、内部まで薬剤を浸透させる。

「落とします」
ヘラ状の刃で付着部を一息で切断、落下する巣を大袋で受け止める。即封。残存個体は回収網短距離噴霧で拾い、ついでに軒天のフェロモン跡を拭浄して再営巣を抑止。最後に周辺へ残効性の薄い薬剤を軽く処置して終了だ。

玄関チャイム。「終わりました」
封をした袋越しでもわかる分厚い巣盤。担当者は女王・幼虫ごと除去できたこと、戻りバチがいても巣がなければ居つかないこと、数日は様子見を――と要点だけ簡潔に伝え、質問にすべて答えてくれた。

6. かかった費用、かかった時間、そして呼吸が戻る

時計は19時台後半。準備~片付けまで約60分。費用は見積りどおり27,500円。支払い方法と領収書・作業報告を受け取り、注意点と万一の再来時の相談窓口も確認して解散となった。
窓を少し開ける。あれほど耳についた羽音がない。息子がそっと外に出て、空を見上げる。「もう大丈夫?」――「大丈夫。」
このひとことまでが、今日のゴールだったのだと思う。
夜、妻と歩いて稲城中央公園まで行った。外灯の下、さっきまでの緊張がゆっくり体から抜けていく。帰路、京王よみうりランド駅の方角に観覧車の灯が瞬いた。ようやく、いつもの稲城の夜が戻ってきた。

7. “もしも”のための覚書(今回わかったこと)

スズメバチの巣は、見つけた瞬間から「安全管理」の対象になる。今日の体験で、素人でも実行できる行動指針を、家族の備忘録としてまとめておく。

1.近づかない・揺らさない

巣の半径数メートルは立ち入り禁止。ガス管や室外機が近い場合でも、スイッチ類に触れず速やかに屋内退避。

2.家族と近隣の安全確保

LINEや掲示で「蜂の巣あり・接近注意」を共有。とくに通学路や公園動線(大丸公園、平尾近隣公園側)にかかるときは、迂回を。

3.黒・匂い・音に注意

黒っぽい服、強い香水、振動・大声は刺激になり得る。室内でも窓を閉める。

4.作業は日没以降が理にかなう

働きバチが帰巣し、巣内個体が多い時間は一度で終わりやすい。ただし、これはプロの判断が前提。

5.予防は“隙間と餌”

春先、軒天の隙間、戸袋、換気口を点検・目張り。甘い飲料の空き缶は外に放置しない。稲城長沼駅前のごみ集積所も収集日以外は出さない。

6.判断に迷ったら、すぐ相談

規模・位置・種類の組み合わせで危険度は跳ね上がる。費用の見通しと当日の動きを電話で掴み、見積り後にGO/NO GOを決めればよい。今回のように、説明が明快な業者は心強い。

東京都南多摩エリアのハチの巣駆除エリア

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8. 終わりに――地域の風景を守るということ

スズメバチは“悪者”ではない。自然の循環の一員だ。ただ、人の暮らしとかち合った地点では、命を守るために線を引かねばならない。稲城市は、川と丘と公園が近く、蜂にとっても魅力的な環境だ。だからこそ、住まい手は早期発見・早期相談の意識を持ちたい。
あの日、私たちはハチ蜂バスターズというプロと一緒に、恐怖ではなく“段取り”で事態を動かした。結果、家族も近所の子どもたちも、そして街の時間も守れた。
明日も矢野口駅のホームに朝の光が差し、川崎街道をバスが走り、稲城中央公園にボールの音が響く――そんな当たり前の風景の裏側には、誰かの小さな決断と、プロの静かな仕事がある。

もし巣を見つけたら――近づかない・知らせる・相談する。
それだけで、守れるものがたくさんある。

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吉田 剛
吉田 剛

蜂の巣駆除専門ライター|吉田 剛(よしだ つよし)
20年以上にわたり、スズメバチ・アシナガバチなどの危険生物に関する現場経験と専門知識を活かし、蜂の生態や駆除・予防に関する記事を多数執筆。
「読んだ人がすぐ行動できる、安心して任せられる」記事をモットーに、武蔵村山市をはじめとした地域密着型の駆除情報を分かりやすく解説しています。
全国のハチ被害現場で培った実務経験を元に、業者目線と生活者目線を両立したコンテンツを発信。市役所の補助制度、夜間駆除の注意点、再発防止策など、幅広いテーマを扱い、蜂のトラブルから家庭を守るための正確な情報提供を続けています。